①はじめに
今回は自民党の憲法改正草案についてディスカッションを行いました。
ネットでこの改正草案のpdfが公開されているので、検索をかければ見ることができます。
最近、ニュースでよく話題にされているのは、9条の平和主義と96条の憲法改正手続きですが、改正されるのは、その2つだけではありません。
前文も丸ごと改正されるし、人権の規定とかその他諸々も改正されます。
②議論の内容
主にみんなで、問題点を指摘する形で議論は進んでいきました。以下、長くなりますが、まとめてみます。
(1) 改正草案から、集団的自衛権を通り越して戦争を起こすつもりではないか? という考えを読み取れる。
【理由】
(a)前文「…政府の行為によって再び戦争の惨禍起ることのないやうにすることを決意し…」の文言が削除されており、草案にはそれと同旨の文言は見当たらない。
そして、草案の前文には「…平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し…」とある。
諸外国との友好関係を増進できるなら「再び戦争の惨禍」が起っても構わないという趣旨だろうか。「平和主義」の内容はイマイチはっきりしない。アメリカとの「友好関係」のために、戦争に加勢することもあり得るのだろうか。
(b)草案は9条2項を丸ごと改正して「前項の規定は自衛権の発動を妨げるものではない。」としている。建前上、「自衛権の発動」でありさえすれば、武力を行使することができそうだ。
(c)草案は66条2項を改正し、内閣総理大臣及び国務大臣は、「現役の軍人であってはならない」としている。一方、現行の憲法は「文民であってはならない」と規定している。
「文民」には軍人の経歴を持つ者も含まれる。しかし元軍人は「現役の軍人」ではないから、草案のもとでは、元軍人であっても内閣総理大臣や国務大臣になれることになる。
文民統制(シビリアン・コントロール)の原則は軍人が政治に関与したことが戦争を引き起こした要因と考えられることから、その反省として規定されたものである。
このような立法趣旨を分かった上で改正するのだとしたら、やはり、自民党は「再び戦争の惨禍」を起っても構わないと考えているのではないかと推測できる。
以上、集団的自衛権については賛否が分かれるが、改正草案のもとでは、集団的自衛権を越えるような行為も正当化できそうだ。
続く。
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